​【情報】降雪の少ない地域の人に雪かき技術を学んでもらおうと/村岡でボランティア活躍/雪はねボランティアツアーに注目が集まる/厳寒、車内のサバイバル術は/屋根の融雪装置などに県補助/防災まちづくり大賞 「災害ボランティアセンター」/高齢者向けに雪下ろし支援、総務省

2月前半の各地の新聞の中から、雪対策に関連する興味深い取組など
7件を要約してご紹介します。
今回の記事でも、前回に引き続き、今年度の克雪体制支援調査で
取り組んでいる片品村、香美町の取組と、当別町の取組が紹介されています。
 

★雑記帳:降雪の少ない地域の人に雪かき技術を学んでもらおうと…★

降雪の少ない地域の人に雪かき技術を学んでもらおうと、群馬県片品村で4日、「雪かき体験会」がありました。
村社会福祉協議会が初めて企画し、前橋市、群馬県榛東村、埼玉県上尾市から約30人が参加しました。
片品村は、自力での雪かきが困難な独居高齢者らの世帯をリスト化し、雪かきを実施しています。
昨年2月に関東北部が記録的な大雪に見舞われたこともあり、村外にも雪かきボランティアを育て、豪雪災害に備える狙いがあります。
体験会の参加者は「久々に雪を楽しめる」と笑顔で、かまくら作りにも挑戦しました。
5日は大雪の予報。早くも「実戦」で役立つかも。
(2015/02/05 毎日新聞)

★雪はねボランティアツアーに注目が集まる/除雪で地域交流を拡大 移住や新産業創出にも期待★

「ボランティア活動による広域交流イノベーション推進研究会」(会長・小磯修二北大公共政策大学院特任教授)が実施している、
「雪はねボランティアツアー」が注目を集めています。
過疎や高齢化、大量の積雪に悩む地域に出掛けて除雪をするだけでなく、地域住民との交流も企画。
同研究会の原文宏事務局長(北海道開発技術センター理事)は「道内共通の課題である除雪を通して、
地域に関心を持つ人を増やし、ひいては移住や新たな産業の創出につなげたい」としています。

同研究会は産学官民が連携して道内の地域課題解決の方法を模索し、
社会に大きな変化(イノベーション)を起こそうと2012年に組織されました。
道内の企業や大学関係者で構成し、北海道開発技術センターが事務局を担っています。

立ち上げのきっかけは、構成メンバーが個別に実施していた除雪ボランティアで、
目的は豪雪地域における安全な地域づくりに向けた調査・研究や、企業の社会的責任(CSR)などさまざまだったといいます。
こうした経緯から現在の活動も除雪ボランティアをメーンに据えており、13年から雪はねボランティアツアーを実施しています。
除雪は道内でも共通の課題であり、地域に受け入れてもらいやすいためです。
原事務局長は「企業はCSR活動の一環として従業員に参加してもらい、バスなどの運行のための費用も寄付金として負担してもらう。
大学は若い労働力の提供や、調査や研究のためのメンバーの役割もある」とそれぞれの機能について話しています。

ボランティア活動は上富良野、岩見沢市の美流渡地区、倶知安の3地域で展開していて、
それぞれ、構成メンバーが過去にボランティアで入っていた地域です。
各地域に共通している課題は高齢化や人材不足。
「単純な観光目的のツアーではなく、その地域で生活している人の現実を見て、関心を持ってもらいたい」と事務局の小西信義さんは話しています。
そのため、地域住民と一緒に食事をするなどのイベントも行い、交流を深めています。
小西さんは「都市部からボランティアが入っていくことで、地域に新しい動きが生まれるのではないか」と考えています。
地域との交流を含めたことで、個人的に観光するよりも充実感が得られると好評を得ており、リピーターも徐々に増え2割を超えています。
企業単位での参加もあり、参加人数自体も増加し、12年度は194人、13年度は323人でした。
岩見沢市街地から美流渡地区に移住する人もいたということです。
今後は除雪以外の活動も模索していく考えで、ボランティアを通して、いずれは各地域での新たな産業の創出も見込んでいます。
「岩見沢市美流渡地区にはかつて、清流を利用した酒蔵があったと聞いている。
移住者が増え、企業との連携もできれば休耕地を利用した稲作や日本酒造りなども考えたい」と原事務局長は期待を込めています。
(2015/02/13 北海道建設新聞)


★村岡でボランティア活躍 徳島からも助っ人 受け入れ充実町社協が模索 雪かきは任せて★

豪雪に備えてボランティア受け入れの仕組みを構築しようと、香美町社会福祉協議会は14日、同町村岡区で除雪活動を行いました。
柤岡(73世帯)と丸味(15世帯)の2地区で計60人が1人暮らしの高齢者宅の周りや生活道路の雪かきを行い、住民の負担を軽減しました。
過疎高齢化で除雪の担い手が少なくなる中、同町では国土交通省から11市町村のモデル地域の指定を受け、支援体制の確立に取り組んでいます。
ボランティアは神戸市など県内を中心に、遠くは徳島市からも駆け付けました。

柤岡ではこのところの寒波で積雪量が1メートルを超えました。
急傾斜地に住宅が立ち並ぶため排雪場所が限られ、取り除いた雪が道路脇に積み重なって壁のようになるなど、住民は雪かきに苦労しています。
ボランティアは、効果的なスコップの使い方を教わり、汗を流しながら高齢者宅の玄関先やプロパンガス置き場などの雪を取り除きました。
今年8月に水害に遭った丹波市からは、同町からの人的支援への恩返しの意味も込め、災害支援ボランティアネット「丹(まごころ)」の15人が参加。
参加者は「どこであろうと困っている地域があれば助けようと行動している。喜んでもらえたら」と語っていました。

町社協では、町外のボランティアとの関係強化に加え、海岸部と山間部で相互支援体制を構築する構えで、
青山栄作事務局長は「いざというときに来てもらえるつながりと、ボランティアを受け入れやすい雰囲気をつくりたい」と話していました。
(2015/02/15 日本海新聞)

◆厳寒、車内のサバイバル術は エンジン切って8時間、JAFが実験 動画公開/北海道◆

吹雪や豪雪で立ち往生した車内で寒さにどれだけ耐えられるか――。
日本自動車連盟(JAF、本部・東京)が、実験結果をホームページ上の動画で公開しています。

〔実験の実施条件〕
・昨年2月の深夜から朝にかけ長野県の菅平(すがだいら)高原で実施
・ダウンジャケットにジーンズ姿の20~30代の男性被験者4人
・それぞれ(1)装備なし(2)毛布+使い捨てカイロ(3)登山用寝袋(4)エマージェンシーシート(薄いアルミシート)の条件で車の後部座席に乗ってもらう
・限界がきたら合図を送ってもらう

排ガスによる一酸化炭素中毒や燃料切れを避けるため、午後11時にエンジンを切るところから開始、
外気温は零下10~13度で、車内は最初25度でしたが、30分後には10度下がり、3時間後には零下となりました。
実験の結果は次の通りです。

○「装備なし」の被験者
 ・開始から2時間45分でギブアップ
 ・車内は1.8℃
 ・「足先の感覚がなくなってきた」と語る
○「エマージェンシーシート」の被験者
 ・開始から5時間半後の未明に離脱
 ・車内は零下3.9℃
 ・「最初にかいた汗が冷えてきた」と語る。
○「毛布+カイロ」と「寝袋」の被験者
 ・実験終了の午前7時まで8時間を耐え抜いた。
 ・ともに寒さが厳しかったことを訴え、毛布の被験者は「カイロがあったから過ごせた」と語る

JAF広報は「保温できる毛布や寝袋を車内に備える重要性が改めて示された」としています。
公開サイトのアドレスは(http://ch.jafevent.jp/detail.php?id=182_0_99612)。
(2015/02/05 朝日新聞)


◆屋根の融雪装置などに県補助 高齢者いる世帯に25万円まで 新年度予算案 /秋田県◆

雪下ろしの事故を減らそうと、県は新年度当初予算案に「雪に強い安全・安心住宅支援事業」として2500万円を盛り込みました。
湯沢市や上小阿仁村など特別豪雪地帯を含む13市町村の65歳以上の高齢者がいる世帯を対象に、
屋根に設置する命綱の取り付け金具や融雪装置などの住宅設備に上限25万円を補助し、上限額までは自己負担の必要はありません。

県地域活力創造課は、金具や融雪装置の効果を検証するため、
設置後に現地見学会を開くことやアンケートへの回答を補助の条件にすることを検討しています。
担当者は「全額補助は他県では聞いたことがない。冬の安全な暮らしへの関心を高め、
雪下ろしのために屋根に上らずにすむ克雪住宅の普及に弾みをつけたい」と話しています。
(2015/02/10 朝日新聞) 


◆防災まちづくり大賞 「災害ボランティアセンター」 消防庁長官賞に輝く 協働型の被災者支援評価◆

優れた防災対策を推進する団体や組織を支援する総務省消防庁主催の「第19回防災まちづくり大賞」に、
災害時に長岡市内の市民団体が協働で対応する「災害ボランティアセンター」の取組が最高賞に次ぐ消防庁長官賞に選ばれました。
「長岡協働型災害ボランティアセンター」と呼ばれる災害時の取組は、
長岡市社会福祉協議会を中心に中越防災安全推進機構、長岡青年会議所、子育てや外国人支援団体などが協力して行っています。

各団体が別々に活動し支援が十分に行き届かなかった中越地震や7・13水害を踏まえ、
2010年度から課題の検証や団体同士の連携強化を進めました。豪雪だった11年1月、協働型として雪害対策にあたりました。
同年の東日本大震災では、避難者の受け入れと被災地への物資輸送などを行いました。
子育て支援団体が幼い子を持つ避難者の相談に乗ったり、長岡青年会議所が中心となりトラックの手配や物資の輸送をしたりしました。
12年の豪雪では、中越防災安全推進機構がボランティアに雪かきのノウハウを教えるなどしました。
「各団体の特長を生かした支援ができた」(長岡市社協)としています。

災害時に備え、連携の輪を広げようと、13年度以降は食物アレルギーのある人の支援や
消防団との連携といった多様なテーマを設け、公開型の勉強会も開いています。
長岡市社協の中村清事務局長は「受賞はボランティアとして応援いただいた個人や学校、企業など皆さまのおかげ。
勉強会を続けて、いざという時に力を出せるようにしたい」と話しています。
(2015/02/13 新潟日報)


◆高齢者向けに雪下ろし支援、総務省、支給拡充◆

総務省は13日、高齢者の雪下ろしを支援するため特別交付税を拡充すると発表しました。
豪雪地帯などで単身高齢者が増え、雪下ろし中の事故が多発していることに対応するものです。
同日、自治体に交付税措置の拡充に関する通知を出しました。
主な内容は以下の通りです。

○地方自治体に支給する特別交付税の算定項目に3月支給分から「高齢者の雪下ろし支援」を新設
○経費全体の8割を措置
○交付対象
 ・雪下ろしが困難な世帯への支援に必要な経費
 ・作業の担い手育成や安全対策の普及啓発にかかる費用も含む

記者会見した高市早苗総務相は「豪雪地帯では高齢者が雪下ろしを業者に委託する費用などを助成する自治体が増えている。
交付税措置を活用し高齢者支援の拡充や事故防止に努めてほしい」と述べました。
(2015/02/14 日本経済新聞)

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