【情報】除雪ボランティア 登録制度を創設/除雪ボランティアの活動 安全に 指導者養成 雪かき道場/(見聞録)除雪支援、若者も担える体制を/(除雪考)助け合い、広がる組織/広域的な連携必要 「ゆきみらい」シンポ

1月後半の各地の新聞の中から、雪対策に関連する興味深い取組などを要約してご紹介します。
今回の記事の中には、平成24年度、平成25年度の克雪体制支援調査で取り組んでいた高島市の成果である滋賀県の記事をはじめ、今年度の三瀬や香美町での取組も紹介されています。
  

◆除雪ボランティア 登録制度を創設 滋賀県センター◆
 
滋賀県ボランティアセンター(草津市)が、過疎高齢化に悩む県内の豪雪地帯などで、除雪作業を手伝うボランティアの登録制度を創設しました。ボランティアは大雪の際に民家の雪かきを助けるほか、日頃から住民と交流を深めて、過疎地の活性化にも一役買ってもらうことにしています。
県内では、長浜、高島、米原、大津の4市の一部が国の豪雪地帯に指定されています。同地帯の多くで人口減少が進み、雪下ろしや雪かきが負担になっており、同センターが「緊急時に広域的な支援ができるように」と同制度を考案しました。
活動場所は豪雪地帯に限らず、大雪でボランティアの助けが必要になると、各市町の社会福祉協議会を通じて同センターに支援要請してもらい、登録ボランティアには活動日と場所の案内がメールなどで届く仕組みです。同センターは、ボランティア向けにシャベルの使い方など除雪技術を学ぶ研修会を開いたり、住民との交流イベント情報を積極的に発信するということです。
(2015/01/22 滋賀自治新聞)
 
 
◆除雪ボランティアの活動 安全に 指導者養成 雪かき道場◆
 
除雪ボランティアの指導者を養成する講習会「雪かき道場」が24日から25日まで香美町小代区で行われています。地元住民や県内の社会福祉協議会職員など約30人が参加し、雪かきの基本作業、心構えなどについて学んでいます。
町内では少子高齢化が進み、同町社会福祉協議会では昨年から除雪ボランティアを県内各地から募集していましたが、雪かきが未経験の参加者もおり、安全な活動を目指して指導者を育てていくために、初めて企画しました。全国の豪雪地で雪かき道場を開く新潟県のNPO法人「中越防災フロンティア」のメンバーが講師を務めました。
初日は、小代高齢者生活支援センター「いこいの里」で座学があり、参加者は過疎化による担い手不足で、近年雪による被害が全国で増加傾向にある実情を学習し、除雪ボランティアの受け入れ態勢を整えることの重要性について理解を深めていました。
続いて、いこいの里近くで、雪が残る場所に移動し、かんじきの履き方やスコップ、スノーダンプの使い方を教わりました。2日目は、町内で本格的な除雪作業に取り組みます。
(2015/01/15 神戸新聞)
 
 
◆(見聞録)除雪支援、若者も担える体制を◆
 
 例年にない豪雪で、東北各地で雪下ろしや除雪作業中の事故が相次いでいます。大半が屋根やはしごからの転落で、高齢者が1人で命綱も着けずに屋根に上っている現実は、30年前と背景や原因が同じで、地方の過疎や高齢化が進んだ分、状況がさらに深刻になっていると感じます。
 中学生の雪かき塾や県外ボランティアを募る山形県尾花沢市など、豪雪地では担い手確保・育成にあの手この手で努力していますが、いつ降るかわからない雪に臨機応変に取り組む人材の確保は難しいことです。鶴岡市三瀬地区でも国の助成を受け、昨年度から独り暮らしの高齢者宅の除雪をマンツーマン態勢で支援していますが、ボランティアの多くが60歳代以上で、高齢者が高齢者を支えているのが現状です。「ここは住民が1500人いるからまだ何とかなるが、10世帯の山村だと、もうアウトでしょう」と、三瀬地区自治会の石塚慶事務局長は話しています。
 資材や財政の支援は重要ですが、若者が除雪ボランティアに出た日は勤務扱いにするとか、社会のありようを根本的に変えない限り問題解決の糸口は見えてこないのではないでしょうか。
(2015/01/27 朝日新聞)
 
 
◆(除雪考)助け合い、広がる組織◆
 
 全国最速で少子高齢化が進む秋田県内では、雪下ろしの担い手が高齢化し、事故が後を絶ちません。自治体の財政も厳しくなる中、2012年に横手市で生まれた地域の垣根を越えた住民らによる共助組織が、新たな除排雪の仕組みとして県内に広がっています。
 
 湯沢市中心部から約25キロ、有数の豪雪地帯である皆瀬地区の皿小屋集落で、1月中旬、1階が雪に埋まった民家の屋根の上で、3人の男性が手際よく雪下ろしをしていました。
 作業を請け負ったのは、皆瀬地区の羽場、市野、皿小屋3集落の60代の住民12人で昨年8月に発足した共助組織「生活サポートシステム」のメンバーです。雪下ろし費用は作業員1人当たり1時間1600円、うち100円は共助組織の運営費などになり、残り1500円が支払われます。同地区の業者の相場は1人1日1万円ほどなので、この日は小屋2棟の雪下ろしもあわせ、2時間で3人の作業が終了し、費用は計1万円足らずと割安で済んでいました。
 この3集落はともに世帯数が減り、若い人も少ないため、集落単独で雪下ろしなどの地域課題を解決することが難しくなり、3集落で連携することになりました。共助組織の会長は「雪下ろしをきっかけに、今後は排水路などの管理もやっていきたい」と話しています。
 
 県は、雪害事故での死傷者が増える状況を踏まえ、14年度に共助組織の立ち上げサポート事業を始めました。認定団体に10万円の補助金を支給し、地域活力創造課によると、14年度は県央2団体、県北2団体、県南3団体が認定されました。
 県が共助組織のモデルとしたのは、横手市の保呂羽(ほろわ)、狙半内(さるはんない)、南郷、三又(みつまた)の四つの共助組織で、12年12月には四つが集まって「共助組織代表者ネットワーク会議」が発足しました。同会議によると、13年度の雪下ろし支援は4地区計60回(前年度31回)で、こうした実績から、「横手モデルは、高齢化の進む地域で新しい公共を担う。今後の高齢化社会に合致する」と評価され、14年度のふるさとづくり大賞の団体表彰にも選ばれました。
 同会議の議長は「俺たちも動くから、行政も動いてくれというように、役割を決めて地域課題を解決する仕組みを県内に、全国に、広めていきたい」と話しています。
(2015/01/22 朝日新聞)
 
 
 
◆広域的な連携必要 「ゆきみらい」シンポ 長岡◆
 
行政や市民らが雪国課題やまちづくりなどを考える「ゆきみらい2015 in 長岡」が、29日、長岡市のアオーレ長岡で始まりました。シンポジウムでは関東など雪の少ない地方で昨年相次いだ豪雪被害を踏まえ、雪国が培った知恵を発信し「広域的なパートナーシップが必要だ」といった意見が出ました。
このシンポジウムは、北海道、東北、北陸を対象に毎年開かれ、会場には雪崩防止フェンスや除雪車などのブースが並びました。
パネルディスカッションでは、昨冬1mを超える積雪があった山梨県大月市の石井市長が「交通機関がまひし、数日間孤立した。降り始めの対応が重要だと感じた」と述べました。
豪雪地域の長岡市山古志地域や十日町市の関係者は「どんな備えが必要か、大雪の経験がない地域に分かりやすく発信する役目がある」としました。長岡技術科学大の上村靖司教授は「大雪は災害と認識されず甘く見られる。100%の備えはできないが、行政だけでなく、草の根の支援があれば防災力が上がる」と説明しました。
(2015/01/30 新潟日報)

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