​【情報】札幌の雪 東京五輪に涼 NPO法人が活用構想/厳寒下 再生エネ融雪 稚内で実証実験/除雪中事故 防止急げ 県、講習会前倒し

1月前半の各地の新聞の中から、雪対策に関連する興味深い取組などを要約してご紹介します。この他、東北から西日本の日本海側にかけて、降雪量が例年より多く、各地で豪雪対策本部や雪害対策本部、豪雪警戒本部が例年より早く設置されたとのニュースが報告されています。
 

◆札幌の雪 東京五輪に涼/NPO法人が活用構想◆
 
NPO法人雪氷環境プロジェクト(札幌市)が、2020年の東京五輪で札幌周辺の雪や氷を冷房などに使う構想を発表しました。
札幌市では、毎年200億円近くかけて、70箇所以上の堆積場に2,000万立方メートル弱の雪を捨てています。この一部を東京に運び、マラソンコースに雪壁を設置したり、選手村の冷房に活用したりする構想を大会組織委員会に提案することにしています。
この他にも、道外の豪雪地帯と協力して、国内に3箇所程度の雪室を設け、全国各地で春に咲く花の開花時期を五輪の時期にずらし、地方ごとの様々な花で羽田空港や競技会場を飾る構想もあるということです。
(2015/1/8 日本経済新聞)
 
 
◆厳寒下 再生エネ融雪/稚内で実証実験 太陽光パネルや蓄電池/道内外3社と道◆
 
道は今月中旬から2018年3月まで、道内外の再生エネルギー関連企業3社と共同で、稚内市が所有する太陽光発電所の一部を借り、ここで起こした電気を融雪に活用する実証実験を始めます。
太陽光発電システム販売のトミタ(札幌)、太陽電池パネル製造販売のPVGソリューションズ(横浜)、蓄電システム開発のコネックスシステムズ(京都市)の3社が発電や蓄電のシステムを技術的に検証、計測制御システム開発のハイテックシステム(恵庭)も機器提供で協力します。道は関係機関との調整やPR活動などで支援し、費用は参加企業が負担します。
実証実験は、積雪寒冷地向けに開発された太陽光パネルや蓄電池、融雪機器の耐寒性能を3年間かけ検証、寒さの厳しい環境でも再生エネルギーの発電から蓄電、消費まで安定して機能するシステム確立を目指します。
・メガソーラーの太陽電池パネルの一部を、地面の雪に反射した光を取り込める両面発電型に付け替え、作動状況を調べる。
・蓄電池は、リチウムイオンと寒さに強い鉛電池を組み合わせ、氷点下20度まで耐えられるという製品を使い、性能を確かめる。
・融雪には、地面に埋め込むマット型の装置の効果を試す。
今回の試験では、寒さの厳しい道内で再生エネルギーを地域のエネルギーとして活用する「自立分散型エネルギー」の普及に向けた課題も探る考えです。道は「実証実験を道内の企業や住民に公開し積雪寒冷地での再生エネルギーの可能性について理解を広めていきたい」(経済部)としています。
(2015/1/10 北海道新聞)
 

◆除雪中事故 防止急げ 死傷者85人 昨冬の2倍 県、講習会前倒し=山形◆
 
記録的な積雪となっている今冬、県内で除雪中の事故が相次いでいます。県によると、14日午後5時現在の死傷者は85人で、昨冬の約2倍。県は雪下ろし講習会を開いたり、雪に強い住宅にリフォームする補助金の活用を呼びかけたりしています。
 
■命綱の重要性説明
県市町村課が酒田市上青沢の大沢集会施設で開いた講習会には地元の高齢者約20人が参加し、雪害防止策を専門とする長岡技術科学大(新潟県長岡市)の上村靖司教授から「一人での雪下ろしの危険性」や「命綱の重要性」などについて、スライドを使いながら講義を受けた後、集会施設の屋根にはしごを掛け、命綱を着けて実際に雪下ろしを行いました。
講習会は毎年開かれていますが、今年は例年より1週間早めました。同課の斎藤一主査は「『命綱なんて』といっていた参加者の中には、講習を受けると『重要性が分かった』と認識を改める人も多い。安全な雪下ろしをしてほしい」と強調しています。
 
■負傷者は置賜が最多
県危機管理課によると、死傷者の内訳は、死者2人、重傷47人、軽傷36人で、地域別では、特に積雪の多い置賜地方が41人で最も多く、重傷者は24人と県全体の約半数を占めています。
原因別では、「転落」が60人で約7割を占めており、屋根で足を滑らせるケースのほか、はしごを固定させていなかったために屋根に上がる前に転落するケースも目立ちます。ほとんどの場合は命綱をしていなかったか、一人で作業していたということです。
14日には米沢市で男性(58)が自宅車庫の屋根で雪下ろし作業中、約2.6m下の圧雪に転落し、腰椎骨折の重傷を負いました。米沢署の発表によると、一人で作業しており、命綱やヘルメットを着用していなかったということで、はしごを使って下りようとした際、屋根の上の雪に足を取られたとみて調べています。
死者が出た事故は、尾花沢市で今月1日、女性(62)が自宅近くで除雪機の下敷きになり死亡、白鷹町では12日、男性(66)が自宅の軒下で雪に埋まった状態で見つかっており、屋根からの落雪が直撃したとみられます。
 
■見回りやリフォームも
一方、雪かきが困難な高齢者向けに、除雪を手伝う動きもみられます。
<尾花沢市>
市の「豪雪パトロール隊」が雪害の可能性がある家がないか見回り、見つけた場合は市が除雪する取り組みを進めている。
<米沢市>
山形大工学部の学生を中心に100人近くが「除雪ボランティア」として活動している。
 
また、県建築住宅課は、屋根に命綱を固定するための金具を取り付けたり、屋根を急勾配にして雪が積もらないようしたりする「克雪化」を進めるため、住宅リフォームの補助金を2012年に設けており、今年度はすでに、約450件の申し込みがあります。同課は「補助金は年度ごとに1人1回まで利用できるので、制度を活用し、安全な住宅環境を整えてほしい」と呼びかけています。
 
 
◇雪下ろしのポイント(※県危機管理課まとめ)◇
▽屋根の雪のゆるみに注意
・暖かい日の午後は雪が解けるので特に注意
・雪解け水や、雪や氷が動く「ギュッ」という音は、崩れる前兆
▽安全な服装で
・ヘルメットを着用する
・滑りにくいゴム長靴を履いて動きやすい服装で
▽命綱を使う
・命綱を屋根のアンカー(リング上の金具)に結んでしっかり固定する
・アンカーがない場合、ホームセンターに売っている約30センチの板に命綱を結びつけ、屋根の頂上部分の雪にしっかり埋め込む。約10分間、雪が硬くなるのを待ち、板が抜けないことを確認する
・命綱は屋根の上で止まる長さに調整
▽はしごはしっかり固定
・はしごの足元を雪に埋め込むか、くいやロープでしっかり固定する
・長さは軒先より60センチ以上長くし、角度を約75度にする
▽複数で作業
・事故に備えて2人で作業する
・1人の場合、家族や近所に声を掛けておく
・万一の場合、助けを呼べるように携帯電話を持つ
▽足場は常に注意
・落雪に巻き込まれないように、屋根の上の方から行う
・厚さ20センチ程度の雪を残した方が滑りにくい
(2015/01/15 東京読売新聞)

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