【情報】空き家撤去補助 公平性、悩む自治体/雪氷研究 成果を還元/雪への備え 早々と
◆空き家撤去補助 公平性、悩む自治体◆
地域住民にとって迷惑な空き家への対応では、住宅の密集や豪雪など、やむにやまれぬ事情を抱え、一部自治体は撤去費を補助する制度を導入したり、空き家撤去が進まない一因とも考えられる税制特例に対応する仕組みを導入する自治体もあるが、個人の所有物の処分に公金を支出することへのためらいは、どの自治体にもあります。
空き家が増加の一途をたどるなか、国レベルの対策の動きも始まろうとしているようです。
○撤去費用の補助制度の有無(毎日新聞の調査)
・調査対象:空き家対策を条例に基づいて行っている自治体、うち317自治体が回答
・調査内容:撤去費用の補助制度の有無について
・「ある」と回答:96自治体
・最多補助件数:呉市(広島県)、2011年から262件、総額7000万円
<呉市の例>
・明治時代に海軍の拠点が置かれたころから人口が増え、沿岸部に迫る傾斜地に住宅が集まったものの、近年は空き家が増え、上り坂が不便なため売却が困難
・市が危険度が高いと判定するなどした空き家に費用を補助する制度
・補助は費用の3割までで、上限は30万円
この他、木造密集住宅地のある自治体や豪雪地帯の自治体などで補助制度を導入する一方で、行政の公平性やモラルに反する対応への懸念から、補助制度の導入を控える自治体も多くなっています。
○税制上の特例
・住宅が建つ土地には固定資産税が最大6分の1まで引き下げられるという税制上の特例
・特例は1973年、住宅建設を促進するために導入
例)ある土地の固定資産税評価額が3000万円の場合、標準税率1.4%を掛けた年間の税額は42万円
→その土地に住宅があれば「特例」で税額は7万円にまで引き下げ
空き家を撤去した後も固定資産税の軽減措置が続くようにすれば、撤去が進む可能性はあり、以下の2市のように軽減措置を導入する自治体もみられます。
<豊前市(福岡県)>
危険な空き家を撤去すれば10年間は固定資産税の軽減を継続
<見附市(新潟県)>
・条例で定めた基準で管理に問題のある空き家と判定された場合、税制上の特例から除外できる制度を設定
・所有者が申請すれば2年間は特例並みの税額軽減
・倒壊寸前などの緊急時に市が応急措置をした場合、その費用を負担するとの同意書を所有者が提出することが条件
・これまでに6件の申請を認め、4件が自主的に撤去
○国レベルで対策検討
<空き家対策を定めた新法>
自民党の「空き家対策推進議員連盟」が法案をとりまとめた新法が、秋の臨時国会に提出される見通しで、主な内容は以下の通りとなっています。
・法案は、空き家対策の指針の策定を国に求め、立ち入り調査など一定の権限を自治体に与えることを規定
・税務担当課が所管する固定資産税の納税者情報を、同じ自治体の空き家対策の担当者が利用可能(所有者の所在を割り出すために、納税者情報が役立つケースあり)
当初、所有者が自ら空き家を撤去すれば、一定期間に限って固定資産税の軽減措置を継続することも検討
→撤去しない限り軽減措置が続く一方で、撤去した場合の軽減措置が期限付きであれば、「撤去しない方が得」という風潮を助長しかねないため、具体的な措置については幅広い検討の余地を残す
<固定資産税の軽減対象から除外する仕組み>
国土交通省と総務省は、自治体が危険と判断した空き家が建っている土地は固定資産税の軽減対象から除外する仕組みを検討しています。
すでに見附市が同様の制度を独自に導入していて、国交省などが乗り出すことによって国レベルの施策になります。対象となる「危険な空き家」をどう規定するかが、制度化に向けた焦点で、空き家対策法案の審議を参考にしながら、来年度の税制改正での実現を目指す方針です。
(2014/09/21 毎日新聞)
◆雪氷研究 成果を還元◆
雪氷学の研究者が最新の研究成果を発表する「雪氷研究大会」が八戸市内で開かれ、全国の大学や研究機関などから約400人が参加し、雪害対策や寒冷地の道路・住居のあり方などをテーマに発表や展示を行っています。
日本雪氷学会と日本雪工学会が主催、八戸工大が共催で、開会式で日本雪氷学会の石本敬志副会長が「社会に研究成果を還元する契機にしていこう」とあいさつ、日本雪工学会の沼野夏生会長は「地球規模の気候変動などを視野に入れた研究は、二つの学会が協力し合わなければ実現が難しい。交流を深めよう」と述べました。
21日は、「2014年 太平洋側の大雪を振り返る」と「変わりゆく北極と雪氷研究の取り組み」の二つの企画セッションや講演会「凍上現象から見える土の不思議」が行われ、23日は雪と防災について、楽しみながら学べる二つのイベントが行われます。
(2014/09/21 東奥日報)
◆雪への備え 早々と◆
家庭用除雪機を買い求めたり民間業者に除雪を依頼したりするなど、道内の家庭では早くも除雪対策が本格化しています。家庭での除雪機利用は、一昨冬に記録的大雪に見舞われて以降拡大しており、電気料金値上げでロード・ヒーティングをやめた世帯が増えたことで、民間業者などへの除排雪サービスの依頼も例年より増えているようです。
高齢者らを対象にした福祉除雪※の依頼も、過去最多だった昨冬を上回っています。札幌市社会福祉協議会では、今冬の受付を開始した9月1日から12日までの依頼は3277世帯となり、昨冬の同時期よりも252世帯多くなっています。旭川市社会福祉協議会の福祉除雪の受け付けは10月1日からですが既に多数の問い合わせがあり、依頼世帯は右肩上がりで増えており、昨冬は一昨冬より2割多い376世帯でした。一方で、除雪を担う市民の登録は伸び悩んでおり、市社協は「このままでは制度はいずれ限界を迎える。1人でも2人でも協力してほしい」と呼びかけています。
※福祉除雪:事前に登録した地域協力員が、除雪車が出動した際に担当世帯に出向き、軒先を雪かきする
(2014/09/22 北海道新聞)